ちょっとした法学の話「第二章 刑法の適用範囲」

伝承の場

日本の刑法は、どこまで適用できるのか。

 極端に考えれば、「海外で外国人が、外国人に殺された殺人事件」

について、日本の法律で裁けるのかということです。

 当然日本の法律ではなく、現地の外国での法律で裁かれることになるのはイメージできますよね。

 ただ、外国で発生した犯罪が日本の刑法で裁かれる場合もあるのです。

 ではどのような場合に日本の刑法が適用できるのか。

 それには、

  • 属地主義
  • 属人主義
  • 保護主義

という原則から判断できます。

 属地主義とは、「日本国内で発生した犯罪は、日本の刑法の適用範囲」であるという原則です。

 つまり、犯人の国籍を問わず日本国内で犯された犯罪に適応されるということです。

 日本国内とは領土、領海、領空はもちろん、国外の日本航空機、日本船舶内も含まれ、また構成要件の一部が日本国内に含まれればそれで適用されることとなります。

 属人主義とは、「日本国民が国外で刑法3条に列挙された罪を犯したとき、また、日本国民に対して刑法3条の2に列挙された罪が犯されたときに日本の刑法が適用される」という原則です。

 例えば、日本人が国外で外国人を殺害した場合、日本の刑法が適用されます。

 属地主義の視点からは日本の刑法が適用できないことになりますが、属人主義の視点から適用できると判断出来るわけです。

 刑法3条に列挙された放火罪、殺人罪、窃盗罪等がこれにあたります。

 また、日本国民の保護のために、国外で日本人が被害にあった場合の犯罪についても「刑法の一部を改正する法律(平成15年)」に追加された規定により日本国民以外の者においても日本の刑法を適用するというものもあります。

 刑法3条の2に列挙された強制性交等罪、殺人罪、身の代金略取、強盗罪等がこれにあたります。

 保護主義とは「日本の国家的利益や社会法益を保護するため、刑法2条に列挙された罪は国籍を問わず日本の刑法が適用される」という原則です。

 刑法2条に列挙された通貨偽造罪、公文書偽造罪等がこれにあたります。

これらの原則により、刑法の適用範囲を判断しているのです。

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