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うちの鏡に映るもの

引っ越したアパートの洗面台の鏡に、ある日から「ずれ」が生じていることに気づいた。映っているはずのものが映らず、映っていないはずのものが映っている。 引っ越し先のアパートが気に入った理由は、洗面台の鏡が大きかったからだ。 バス・トイレ別で...
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隣の席が変わっていく話

職場で毎日顔を合わせていた隣席の同僚が、ある日を境に「最初からいなかった」ことになっていく。記録は消え、記憶は塗り替えられ、それでも俺だけが彼女のことを覚えている。 これを書いているのは、誰かに記録として残しておきたいからだ。俺が正気かど...
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隣の家の庭木が増えていく話

引っ越し先の隣家の庭には、最初から木が一本だけあったはずだった。しかし気がつくと、誰も見ていない夜の間に、静かに、確実に、本数が増えていく。 あの家に越してきたのは、三十二歳の春のことだった。 会社の転勤で、それまで住んでいた街から二時...
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うちの家族の写真が増えている

実家に帰るたびに、見覚えのない家族写真が増えていく。だが、母も父も「昔から飾ってあった」と言って疑わない。 実家に帰るのは、だいたい三ヶ月に一度くらいのペースだった。 県境に近い小さな町に両親が住んでいて、私は電車を二本乗り継いで二時間...
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毎朝、同じ時間に届く荷物の話

引っ越し直後から始まった、毎朝同じ時刻の宅配。送り主も中身も、何もかもが少しずつ「ずれて」いた。 去年の春のことだ。転職を機に、県境の町の外れにある古いアパートへ引っ越した。築三十年以上は経っているらしい二階建ての木造で、外壁は雨染みが目...
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毎晩、母から着信がある

亡くなったはずの母親から、毎晩決まった時間に電話がかかってくる。履歴には番号が残り、折り返すと繋がる。しかし画面の向こうから聞こえてくるのは、少しずつ、何かが変わっていく声だった。 母が死んだのは、去年の十一月だった。 持病を抱えてはい...
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鏡の中の家具の話

引っ越し先のアパートで、鏡に映る部屋の景色がいつの間にか少しずつ変わっていることに気づいた男の記録。鏡の中だけが、自分の知らない「別の誰かの生活」になっていく。 これを書いているのは、あの部屋を退去してからちょうど三ヶ月が経った頃のことだ...
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毎週届く荷物の話

毎週決まった曜日に届く荷物。差出人の名前に見覚えはないのに、中身を見るたびに「ああ、そうだった」と思ってしまう。自分の記憶がどこかからすり替わっていくような、静かな恐怖の話。 荷物が届くようになったのは、去年の秋ごろだったと思う。 引っ...
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隣の部屋の洗濯物

引っ越して間もないアパートで、誰も住んでいないはずの隣室から生活の痕跡が消えない。確かめようとするたびに、現実がわずかにずれていく。 その部屋に越してきたのは、三月の終わりのことだった。 二十代の後半に差し掛かった頃、私は仕事の都合で、...
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毎朝通る道の話

毎朝同じ道を歩くうちに、ある日から「順番」がおかしくなっていることに気づいた。誰も変だと思わないのに、自分だけが気づいてしまった男の記録。 これを書いているのは、あの道を通るのをやめてから三ヶ月ほど経った今だ。誰かに話しておきたいわけでも...
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