スポンサーリンク
Uncategorized

『ここにいます』と書かれていた

引っ越し先の路地をストリートビューで確認していたら、撮影日時が変わるたびに、同じ場所に立つ人影が少しずつ近づいていた。そしてその人影は、最後に私の部屋の窓の前で止まっていた。 引っ越しを終えたのは、八月の頭のことだった。 仕事の都合で急...
Uncategorized

毎晩、誰かが家具を使っていた

一人暮らしを始めたはずの部屋で、毎朝、誰かが家具を使った痕跡が残っていた。気配は増え、やがて「もう一人の生活」が完成していく。 あの部屋に住んでいたのは、去年の春から秋にかけての、半年ほどのことだ。 引っ越しの理由は単純で、職場が変わっ...
Uncategorized

毎朝、庭木が違う場所にあった

引っ越し先の庭に立っていた一本の木が、ある朝から少しずつ遠ざかっていた。気づいたときには、失われていたのは木だけではなかった。 あの家に越してきたのは、秋の終わりごろだった。 夫の転勤にともなって、わたしたちは県境に近い小さな町に引っ越...
Uncategorized

毎晩、同じ時間に電話が鳴った部屋の話

引っ越した部屋で、毎晩22時17分ちょうどに鳴り続けた固定電話。出てはいけない、と思っていた。でも、ある夜だけ、出てしまった。 あれは二十代の後半、仕事の都合で県境の町に移り住んだときの話だ。 転勤が決まったのが二月の終わりで、赴任先へ...
Uncategorized

毎晩、隣の席に荷物があった

職場の隣の席に、いつも誰かの荷物が置いてある。でも、その席には誰も座っていない。気にしないようにしていたが、荷物はある日から、少しずつ変わり始めた。 これは、私が二十代の後半に勤めていた会社での話だ。 その会社に転職したのは、春の終わり...
Uncategorized

毎朝、玄関に誰かの靴があった

一人暮らしを始めた部屋に、毎朝知らない靴が並んでいた。増えていく靴の数と、誰かがそこにいた痕跡の意味を、私はずっと気づかないふりをしていたのかもしれない。 一人暮らしを始めたのは、二十四歳の春だった。 就職して三年目、ようやく貯金が少し...
Uncategorized

毎晩、隣の部屋から挨拶が来た

引っ越して間もない部屋で、壁越しに隣人から声をかけられる夜が続いた。おかしいのは、挨拶のたびに、俺の記憶から何かが消えていったことだった。 あの部屋に越してから、だいたい三ヶ月後のことだと思う。「だいたい」と言うのは、正確な時期を俺が覚え...
Uncategorized

毎朝、隣の部屋の電気がついていた

築古のアパートに引っ越した夜から、使っていないはずの隣室に明かりが灯り続けた。管理人は「あの部屋は長いこと空き部屋だ」と言ったのに、ドアの隙間からは、確かに人の気配がした。 その部屋に越してきたのは、三月の終わりだった。 仕事の都合で急...
Uncategorized

毎晩、母が同じ話をした

実家に帰省するたび、母は毎晩まったく同じ話を、まったく同じ順番で語り始めた。最初は老いのせいだと思っていた――話の中身が、少しずつ変わり始めるまでは。 母が同じ話を繰り返すようになったのは、三年ほど前のことだ。 最初に気づいたのは、秋の...
Uncategorized

毎朝、冷蔵庫の中が増えていた話

一人暮らしの部屋で、毎朝、頼んだ覚えのない食べ物が冷蔵庫に増えていた。誰かが入ってくる形跡はなく、鍵は常に閉まっていた。 一人暮らしを始めてから三年になる。 県境に近い小さな町に、築三十年ほどの2DKのマンションを借りた。家賃が相場より...
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました