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毎晩、隣の部屋から家具が増えていた

新しいアパートに越してきた夜から、壁の向こうの部屋が少しずつ変わっていった。誰も住んでいないはずの隣室で、毎晩何かが積み上げられていく。 あれは去年の秋のことだ。仕事の都合で急に引っ越しが必要になって、ろくに下見もしないまま決めたアパート...
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うちのカレンダーの話

壁に掛けたカレンダーに、身に覚えのない書き込みが増えていく。自分の筆跡で、自分が知らないはずのことが書かれていた。 去年の話をしようと思う。 きっかけは本当に些細なことだった。引っ越し先のアパートに越してきて、最初にやったのは台所の壁に...
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毎朝、母が同じ朝食を作る

実家に帰省するたびに、母が「おかえり」と言う前に食事の準備を始めている。おかしいのは、私が帰る日をいつも誰にも伝えていないことだ。 最初におかしいと思ったのは、三年前の秋のことだった。 当時の私は、電車で二時間ほどの距離にある実家を、年...
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うちの子どもが増えた話

ある日から、子どもの数が一人増えていることに気づいた。夫は最初からそういうものだと言い、娘たちは何も変わらないように過ごしているが、私だけがずっと、おかしいと思い続けている。 最初に気づいたのは、去年の秋のことだった。 正確には、気づい...
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うちの鏡に映るもの

引っ越したアパートの洗面台の鏡に、ある日から「ずれ」が生じていることに気づいた。映っているはずのものが映らず、映っていないはずのものが映っている。 引っ越し先のアパートが気に入った理由は、洗面台の鏡が大きかったからだ。 バス・トイレ別で...
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隣の席が変わっていく話

職場で毎日顔を合わせていた隣席の同僚が、ある日を境に「最初からいなかった」ことになっていく。記録は消え、記憶は塗り替えられ、それでも俺だけが彼女のことを覚えている。 これを書いているのは、誰かに記録として残しておきたいからだ。俺が正気かど...
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隣の家の庭木が増えていく話

引っ越し先の隣家の庭には、最初から木が一本だけあったはずだった。しかし気がつくと、誰も見ていない夜の間に、静かに、確実に、本数が増えていく。 あの家に越してきたのは、三十二歳の春のことだった。 会社の転勤で、それまで住んでいた街から二時...
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うちの家族の写真が増えている

実家に帰るたびに、見覚えのない家族写真が増えていく。だが、母も父も「昔から飾ってあった」と言って疑わない。 実家に帰るのは、だいたい三ヶ月に一度くらいのペースだった。 県境に近い小さな町に両親が住んでいて、私は電車を二本乗り継いで二時間...
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毎朝、同じ時間に届く荷物の話

引っ越し直後から始まった、毎朝同じ時刻の宅配。送り主も中身も、何もかもが少しずつ「ずれて」いた。 去年の春のことだ。転職を機に、県境の町の外れにある古いアパートへ引っ越した。築三十年以上は経っているらしい二階建ての木造で、外壁は雨染みが目...
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毎晩、母から着信がある

亡くなったはずの母親から、毎晩決まった時間に電話がかかってくる。履歴には番号が残り、折り返すと繋がる。しかし画面の向こうから聞こえてくるのは、少しずつ、何かが変わっていく声だった。 母が死んだのは、去年の十一月だった。 持病を抱えてはい...
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