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毎回、同じ場所で道を聞いてくる人の話

通勤路の同じ交差点で、同じ女性に、同じ質問をされ続けた。最初は偶然だと思っていた。 これを書こうと決めたのは、あの女性のことをもう誰にも話さないでおこうと思ったのに、それでも頭から離れないからだ。話すことで少し整理できるかもしれないし、あ...
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退去後も届いていた、あの部屋の手紙について

引っ越しから半年後、旧居の郵便受けに自分宛の手紙が届き続けていると知った。差出人の名前は、どこにも登録した覚えがなかった。 引っ越しというのは、思っていた以上に後処理が長引くものだと知ったのは、二十八歳のときだった。 当時の僕は、県境に...
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休憩室の、誰も使わない机の話

職場の休憩室に、誰のものでもない机があった。誰も使わず、誰も片付けず、誰も気にしない——それがずっと、おかしかった。 転職して最初に気になったのは、休憩室の机だった。 今から三年ほど前の話になる。私はそれまで勤めていた会社を辞めて、県境...
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庭の木について、誰も知らなかった

実家の庭に、家族の誰も植えた覚えのない木が生えていた。調べるうちに、その木の歴史が、家族の歴史よりずっと古いことがわかってきた。 実家の庭に、木が一本ある。 庭自体は狭い。南向きの縁側から見渡せるくらいの広さで、父が趣味で植えた梅の木と...
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誰も知らなかった、あの同僚の話

中堅の印刷会社に勤めていた語り手は、ある日、一年以上ともに働いてきたはずの同僚・田辺さんについて、誰も知らないという事実に気づき始める。記憶と記録の間に生じた、静かで深い断絶の話。 これを話すのは、今回が初めてになる。 当時のことを誰か...
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毎回あの席にいた、名前も知らない人の話

地元の小さな喫茶店に通い続けた数ヶ月、いつも同じ席に座る常連客がいた。名前も素性も知らないまま、ある日ふとその存在に疑問を抱いたとき、何かが静かに崩れ始めた。 その喫茶店に通い始めたのは、去年の春ごろのことだった。 仕事が変わって、新し...
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通勤路のあの店について

毎朝通る道に、いつからかある小さな古道具屋があった。誰にも見えていないと気づいたのは、店に入ってからだった。 話すと長くなるんだけど、聞いてほしいことがある。 俺は今から二年ほど前、県境に近いベッドタウンに引っ越した。職場まで電車で四十...
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誰もいない時間の、記録について

深夜、誰もいないはずのオフィスに繰り返し映る人影。最初は機械の誤作動だと思っていたが、映像を見るたびに、その人影は少しずつ「こちらに近づいていた」。 去年の秋ごろの話だ。 俺はとある県境に近い中小の物流会社に勤めていて、その会社の庶務を...
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毎年、同じ日に届く手紙の話

毎年同じ日にだけ届く差出人不明の手紙。最初は誰かのいたずらだと思っていたが、六年目に気づいてしまった――手紙の内容が、その年に起きることを先に知っていたことに。 最初の手紙が届いたのは、私が二十六歳の秋だった。 その頃、私は県境の町にあ...
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うちの猫が、あの角を見ていた話

引っ越して間もない頃から、飼い猫のムギが毎晩、部屋の同じ角をじっと見つめるようになった。最初は動物の習性だと思っていた。でも、ある日の夜、私はムギの視線の先に、ほんのわずかな変化を見つけてしまった。 ムギがあの角を見るようになったのは、引...
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