ホラー

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台風の夜に峠で聞こえた声の話

台風の夜、実家への帰省途中で立ち往生した峠道で、聞こえるはずのない生活音と声が車の外から届いた。あの夜の記録を、私はまだ誰にも見せていない。 これは去年の秋に私が経験したことで、誰かに話すつもりはなかったのだけれど、記録だけは残しておこう...
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あなたの家の体温は、何度ですか

お盆に訪れた山あいの集落で、私はずっと「温かい場所」に引き寄せられていた。けれど後になって気づく。温かかったのは、場所ではなかった。 これを書いているのは、あの集落から戻って三週間が経ったあとのことだ。 記録しておかないと、また忘れてし...
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【洒落怖】その部屋では、22時17分に何かが起きる

事故物件と知らずに引っ越した一人暮らしの部屋で、毎夜まったく同じ時刻に繰り返される「何か」の記録。停電していたあの夜だけ、私はそれを直接見てしまった。 この話を書こうと決めたのは、あの部屋を引き払ってから三ヶ月が経った頃だった。 引っ越...
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更地の手紙を、拾ってはいけない

大晦日の夜、管理するマンションに隣接する更地から、宛名のない手紙が届きはじめた。それは毎年、同じ日に、同じ場所から来ていたのだと気づいたとき、もう手遅れだった。
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あなたの連絡先に、知らない番号はいくつありますか

実家の漁村に帰省した夜、スマホの連絡先に見覚えのない番号が一件ずつ増えていた。既読のつかないはずのメッセージが既読になり、位置情報は港の沖合を指し続けた。 これを書いているのは、あの夜から三週間が経った今日だ。 ずっと誰かに話したくて、...
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【洒落怖】団地の集合写真に映った清掃員

古い団地の清掃員として働き始めた男が、管理室に飾られた古い集合写真の中に、自分に似た人物が写っていることに気づいた。その写真は毎朝、少しずつ変わっていた——ではなく、自分の方が、少しずつ写真に近づいていた。
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毎朝、庭木が違う場所にあった

引っ越し先の庭に立っていた一本の木が、ある朝から少しずつ遠ざかっていた。気づいたときには、失われていたのは木だけではなかった。 あの家に越してきたのは、秋の終わりごろだった。 夫の転勤にともなって、わたしたちは県境に近い小さな町に引っ越...
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毎晩、隣の部屋から挨拶が来た

引っ越して間もない部屋で、壁越しに隣人から声をかけられる夜が続いた。おかしいのは、挨拶のたびに、俺の記憶から何かが消えていったことだった。 あの部屋に越してから、だいたい三ヶ月後のことだと思う。「だいたい」と言うのは、正確な時期を俺が覚え...
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毎朝、隣の部屋の電気がついていた

築古のアパートに引っ越した夜から、使っていないはずの隣室に明かりが灯り続けた。管理人は「あの部屋は長いこと空き部屋だ」と言ったのに、ドアの隙間からは、確かに人の気配がした。 その部屋に越してきたのは、三月の終わりだった。 仕事の都合で急...
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毎朝、ポストに誰かの名前があった

引っ越して間もない一軒家で、毎朝ポストに届く郵便物には、家族の誰でもない名前が書かれていた。その名前を調べるたびに、私の記憶から何かが少しずつ消えていった。 あの家に越してきたのは、夫の転勤が決まった三月の終わりだった。 県境に近い小さ...
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