じわじわ怖い

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隣の席が変わっていく話

職場で毎日顔を合わせていた隣席の同僚が、ある日を境に「最初からいなかった」ことになっていく。記録は消え、記憶は塗り替えられ、それでも俺だけが彼女のことを覚えている。 これを書いているのは、誰かに記録として残しておきたいからだ。俺が正気かど...
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うちの家族の写真が増えている

実家に帰るたびに、見覚えのない家族写真が増えていく。だが、母も父も「昔から飾ってあった」と言って疑わない。 実家に帰るのは、だいたい三ヶ月に一度くらいのペースだった。 県境に近い小さな町に両親が住んでいて、私は電車を二本乗り継いで二時間...
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隣の部屋の洗濯物

引っ越して間もないアパートで、誰も住んでいないはずの隣室から生活の痕跡が消えない。確かめようとするたびに、現実がわずかにずれていく。 その部屋に越してきたのは、三月の終わりのことだった。 二十代の後半に差し掛かった頃、私は仕事の都合で、...
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毎朝通る道の話

毎朝同じ道を歩くうちに、ある日から「順番」がおかしくなっていることに気づいた。誰も変だと思わないのに、自分だけが気づいてしまった男の記録。 これを書いているのは、あの道を通るのをやめてから三ヶ月ほど経った今だ。誰かに話しておきたいわけでも...
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退去後も届いていた、あの部屋の手紙について

引っ越しから半年後、旧居の郵便受けに自分宛の手紙が届き続けていると知った。差出人の名前は、どこにも登録した覚えがなかった。 引っ越しというのは、思っていた以上に後処理が長引くものだと知ったのは、二十八歳のときだった。 当時の僕は、県境に...
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休憩室の、誰も使わない机の話

職場の休憩室に、誰のものでもない机があった。誰も使わず、誰も片付けず、誰も気にしない——それがずっと、おかしかった。 転職して最初に気になったのは、休憩室の机だった。 今から三年ほど前の話になる。私はそれまで勤めていた会社を辞めて、県境...
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庭の木について、誰も知らなかった

実家の庭に、家族の誰も植えた覚えのない木が生えていた。調べるうちに、その木の歴史が、家族の歴史よりずっと古いことがわかってきた。 実家の庭に、木が一本ある。 庭自体は狭い。南向きの縁側から見渡せるくらいの広さで、父が趣味で植えた梅の木と...
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毎回あの席にいた、名前も知らない人の話

地元の小さな喫茶店に通い続けた数ヶ月、いつも同じ席に座る常連客がいた。名前も素性も知らないまま、ある日ふとその存在に疑問を抱いたとき、何かが静かに崩れ始めた。 その喫茶店に通い始めたのは、去年の春ごろのことだった。 仕事が変わって、新し...
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実家の階段、何段あったか

帰省のたびに「なんとなく違う」と感じていた実家の階段。数えるたびに段数が変わり、やがて家族も、家そのものも、少しずつずれていく。 実家の階段が何段あるか、あなたはすぐに答えられるだろうか。 私は長いこと、その答えを持っていなかった。いや...
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柱の傷が、誰も知らない高さで増えていた

実家の廊下に刻まれた身長測定の傷跡。家族の誰も覚えていない高さに、見知らぬ刻み傷が増え続けていた。誰が、いつ、何のために刻んでいたのか――答えは最後まで出ない。 実家の廊下に、柱がある。 玄関を上がってすぐ右手、昔ながらの木造建築によく...
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