2026-09

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毎回、同じ角で道を聞かれる

同じ場所で、同じ顔の人間に、何度も道を聞かれる。ただそれだけのことが、じわじわと日常を侵食していった記録。 最初に声をかけられたのは、去年の春のことだった。 仕事を終えて最寄り駅から歩いて帰る途中、商店街を抜けた先にある丁字路の角で、一...
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祖母の仏壇に並ぶ、知らない顔のこと

祖母の家の仏壇に、帰省のたびに増えていく見知らぬ人の遺影。誰の写真なのかを祖母に尋ねるたび、返ってくる答えが少しずつ変わっていた。 祖母の家に初めて違和感を覚えたのは、たしか私が二十四か二十五の頃だったと思う。就職して二年目か三年目、お盆...
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祖母がいつも挨拶していた、あの角のこと

祖母は毎朝、玄関脇の何もない壁の角に向かって「おはようございます」と頭を下げていた。幼い頃から当たり前に見ていたその光景の意味を、私が知ったのは祖母が逝って半年後のことだった。 祖母の家は、山間の小さな町の外れにあった。県境に近い、もう名...
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祖父母の家の、開かずの間のこと

祖父母の家には、子どもの頃から絶対に開けてはいけない部屋があった。理由を聞いても誰も答えてくれなかったその部屋の扉が、祖父の葬儀の夜、少しだけ開いていた。 祖父母の家には、子どもの頃からずっと開かずの間があった。 場所は、山のほうへ向か...
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毎晩、知らない声に名前を呼ばれる話

毎晩同じ夢を見るようになった。暗い場所で、知らない誰かが自分の名前を呼ぶだけの夢。ある日、その声が夢の外まで追いかけてきた。 最初に夢を見たのは、去年の秋口だったと思う。 その頃わたしは、職場の異動があったり、一人暮らしをはじめて間もな...
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実家に帰るたびに増えていた家具の話

年に数回、実家に帰るたびに見覚えのない家具が一つずつ増えている。母親は「前からあった」と言い張るが、どこか目が笑っていない。 最初に気づいたのは、去年の正月に帰省したときのことだ。 俺は今、実家から電車で二時間ほどの距離にあるアパートで...
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給湯室の水が、誰もいない時間に流れる

誰もいないはずの時間に、職場の給湯室から水の流れる音がする。最初は気のせいだと思っていた。でも、記録を取りはじめてから、少しずつ、おかしなことに気がついていった。 これは、去年の秋から冬にかけての話だ。 私はその頃、とある中規模の会社に...
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通勤路の途中にある、あの店のこと

毎朝同じ道を歩くたびに目に入る古い雑貨店。だが、同僚も地図アプリも、その場所には何もないと言う。自分だけが見えているものが、だんだんと自分の側へ近づいてきているような気がした。 その店に最初に気づいたのは、去年の春のことだった。 転職し...
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配達物の宛名が変わっていた話

ある日届いた荷物の宛名に、見知らぬ名前が印字されていた。それは最初、単純な誤配だと思っていた。 最初に気づいたのは、去年の秋ごろのことだ。 ちょうど仕事が立て込んでいた時期で、ネットで頼んだ日用品が届くのをぼんやりと待っていた。インター...
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祖母の仏壇に増えていく写真のこと

祖母の家の仏壇に飾られた遺影が、帰省のたびに少しずつ増えていた。知らない顔ばかりのはずなのに、最後の一枚だけは、どうしても見覚えがあった。
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