創作怪談

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うちの猫が、見ていたもののこと

引っ越したばかりのアパートで、飼い猫がある一点をじっと見つめるようになった。最初は気のせいだと思っていた。でも、猫が見ていたのは「何もない場所」ではなかったのかもしれない。 うちの猫の名前はムギという。麦わら色の雑種で、拾ったときはてのひ...
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祖母の仏壇に、知らない顔が増えていく

祖母の家の仏壇に並ぶ遺影が、帰省のたびに少しずつ増えていた。見覚えのない顔、知らない名前——誰も増やした記憶がないのに、誰もおかしいとは言わなかった。 祖母が亡くなったのは、私が二十四歳の冬のことだった。 肺炎をこじらせて、入院から三週...
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備品リストの、知らない道具のこと

職場の備品管理を引き継いだ男が、リストの中に誰も知らない道具の記録を見つけた。貸出履歴は何年も前から続いているのに、その道具を使った者は一人もいない。 僕が備品管理を引き継いだのは、去年の秋のことだった。 勤め先は県境の町にある、小さな...
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実家の階段、今日は何段だった

帰省のたびに、実家の階段の数が変わる。誰も気づいていないのに、私だけが数え続けている。 私が階段の段数を数えるようになったのは、たぶん子どもの頃からの癖だ。 理由は特にない。手すりを触りながら一段ずつ上がるとき、自然と数が口から出てきた...
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宛名が変わっていた、あの部屋の記録

ひとり暮らしを始めた古いアパートで、届く荷物の宛名がいつの間にか知らない名前に変わっていた。最初は誤配だと思っていたが、その名前には見覚えがあるような、ないような──妙な感覚がずっとついて回った。 あれは俺が二十六の秋、仕事の都合で県境の...
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卒業写真の、知らないクラスメイト

これはフィクションです。三十代半ばになって届いた同窓会の案内をきっかけに、語り手は卒業アルバムの集合写真に見覚えのない同級生が写っていることに気づく。しかし、他の誰もがその人物のことを「普通に覚えている」と言う。 三十五歳になって初めて、...
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休憩室の、誰も座らない席のこと

これはフィクションです。ある中小企業の休憩室にだけ存在する、誰も使わない机。誰もその理由を教えてくれないまま、語り手はじわじわとその「席」の正体に近づいていく創作怪談です。 転職というのは、どこへ行っても最初の数週間は「よそ者」の感覚が抜...
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結婚式のアルバムに映っていた人

これはフィクションです。友人の結婚式から数週間後、届いたアルバムに、式に来ていたはずのない人物が何枚も写り込んでいた。誰も彼女のことを覚えていないのに、写真の中の彼女は確かにそこにいる。 友人のハルカが結婚したのは、もう三年ほど前のことに...
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誰もいない時間帯の映像

これはフィクションです。中規模の印刷会社に勤める男が、職場の防犯カメラ映像に深夜の人影を発見したことをきっかけに、奇妙な出来事が積み重なっていく話です。映像は確かに記録されている。しかし、誰もいないはずだった。 あれが最初に起きたのは、去...
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毎晩十一時の呼び鈴

これはフィクションです。新しいアパートに越してから、毎晩きっかり同じ時刻に玄関の呼び鈴が鳴るようになった。出ても誰もいない。それが何十日も続いたとき、ある夜だけ、何かが違った。 引っ越してきたのは、秋が始まりかけた頃だった。 仕事の都合...
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