じわじわ怖い

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毎年同じ日に届く、差出人のない手紙のこと

二十三歳の誕生日から毎年欠かさず届く差出人不明の手紙。消印も、筆跡も、毎回まったく同じだった。その手紙が、ある年だけ届かなかった。 最初の一通が届いたのは、私が二十三歳になった日のことだった。 当時、私は県境の町にある小さなアパートに一...
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給湯室の水が、止まらない夜のこと

誰もいないはずの時間に、給湯室から水の流れる音がする。それが気になりだしてから、私は職場のある「事実」に少しずつ気づいていった。 これは私が以前勤めていた会社でのことで、もう五年ほど前の話になる。 当時、私はとある中小の卸売会社に勤めて...
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祖母がいつも挨拶していた、あの場所のこと

祖母が毎朝、誰もいない縁側の隅に向かって頭を下げていた。その理由を知ったとき、私は祖母の家に二度と泊まれなくなった。 祖母の家に初めて泊まったのは、小学三年生の夏だった。 県境に近い山の中の集落で、バス停から歩いて二十分くらいかかる場所...
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アルバムの中の、知らない参列者

友人の結婚式のアルバムを整理していたとき、どの写真にも同じ女が写り込んでいることに気がついた。誰も彼女を知らないのに、彼女はずっとそこにいた。 あれを思い出すきっかけになったのは、去年の秋に自分の引き出しを整理していたときのことだった。奥...
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拾ったノートが、私の夢だった

雨の日に拾ったノートには、見知らぬ誰かが書き続けた夢の記録が綴られていた。読み進めるうち、その夢が自分の夢と完全に一致していることに気づく。 それを拾ったのは、梅雨の終わりごろの話だ。 駅から徒歩十分ほどのところに住んでいて、毎朝同じ道...
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祖母の家の電話が、鳴る夜のこと

亡くなった祖母の家を片付けていた私は、契約を切ったはずの固定電話が夜になると鳴ることに気づいた。受話器の向こうには何もない——でも、本当に何もないのだろうか。 祖母が死んだのは、去年の秋の終わりごろだった。 享年八十四。大病をしたわけで...
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旅先の写真に残った、私の影のこと

旅行先で撮った写真を見返すと、自分の姿はどこにもないのに、自分だけの影が地面に落ちていた。最初は光の加減だと思っていた。 去年の秋に、一人で小さな旅行をした。 目的地は特に決めていなくて、ただ仕事が続きすぎて疲れていたから、なんとなく電...
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職場の同僚たちが、同じ夢を見ていた

ある夜から、職場の同僚たちが口をそろえて「同じ夢を見た」と言いはじめた。最初は偶然だと思っていたが、夢の内容が少しずつ、現実に侵食してくるまでは。 あれが本当に夢の話だったのか、俺にはもう自信がない。 勤め先は、県境に近い小さな町にある...
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備品リストの、知らない道具のこと

職場の備品管理を引き継いだ男が、リストの中に誰も知らない道具の記録を見つけた。貸出履歴は何年も前から続いているのに、その道具を使った者は一人もいない。 僕が備品管理を引き継いだのは、去年の秋のことだった。 勤め先は県境の町にある、小さな...
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実家の階段、今日は何段だった

帰省のたびに、実家の階段の数が変わる。誰も気づいていないのに、私だけが数え続けている。 私が階段の段数を数えるようになったのは、たぶん子どもの頃からの癖だ。 理由は特にない。手すりを触りながら一段ずつ上がるとき、自然と数が口から出てきた...
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